衆議院議員 岸田光広 「税制に対する私の考え」


税制に対する私の考えです。 税の専門用語は避けて平易に書きましたので是非お読み下さい。
税制は、本来「公平・中立・簡素」という三つの基本原則のもとに設計されるべきです。
①公平とは、所得や能力に応じて税を負担すること。
②中立とは、税制が人々の働き方や挑戦の意欲を歪めないこと。
③簡素とは、誰にとっても分かりやすく、制度運用が容易であることです。
しかし現状は、これらの原則が十分に守られているとは言えません。 例えば「103万円の壁」などの所得の境目や、基礎控除の所得制限は、働く意欲を抑制する典型的な制度上の問題です。わずかに収入が増えるだけで、税や社会保険の負担が急増し、手取りが思ったほど増えないと感じる人が多く存在します。このような段差は、公平性・中立性・簡素性の三原則すべてを損なう要因となっています。
基礎控除の所得制限は特に問題です。基礎控除は「最低限の生活費には税をかけない」という趣旨の控除です。しかし所得制限を設けることで、ある線を超えた人は控除が減り、生活費に課税される形となります。累進課税によってすでに担税力に応じた負担調整が行われているのに、さらに控除の制限を加えることは、調整の二重化であり、境目の人ほど不利になるという不合理を生みます。
また、「取りやすいところから取る」という考え方も問題です。制度を理解しにくい層や、声を上げにくい層から税を徴収することは、短期的には税収確保に有効かもしれませんが、長期的には経済全体の活力を削ぐ行為です。働く人や挑戦する人が報われなければ、努力や能力を最大限に発揮できず、雇用や賃金の成長が停滞します。その結果、最終的に低所得者層が最も大きな被害を受けることになります。つまり、成長なき再分配は持続不可能であり、弱者を守るどころか逆に損なう結果を招くのです。

もちろん、市場原理にすべてを委ねることも危険です。格差固定や弱者排除を防ぐため、政治の役割は不可欠です。しかしその役割は、税制を複雑にして細かく調整することではありません。むしろ、税制はシンプルで透明であるほど、努力と成果が正当に評価され、政治的恣意や利権の温床を防ぐことができます。
ここで参考になるのがアメリカの税制です。アメリカでは、基礎控除は原則一律で、所得制限が少なく、誰がどれだけ税を負担するかが直感的に分かります。さらに、低所得者支援は給付付き税額控除などで明示されており、「誰がどれだけ助けられるか」が透明です。税制を使って結果を細かく操作するよりも、ルールをシンプルに整え、競争の舞台を公平にすることに重点が置かれています。
では日本はどうすべきでしょうか。私たちはまず、あらゆる所得制限をなくし、基礎控除のカベも撤廃する必要があります。累進課税によってすでに担税力に応じた負担調整は行われているため、所得制限は不要です。また、基礎控除等の「壁」をなくすことで、働く意欲や挑戦が税制によって阻害されることを防ぎます。再分配が必要な場合は、給付や税額控除など、誰にでも分かりやすく見える形で行うべきです。

さらに、税制だけでなく社会保険も含めた総合的な設計が必要です。短時間労働者やパート労働者が「入れば損」とならないよう、税・社会保険・控除を連動させ、働き方を歪めない制度にしていくことが重要です。
私は国民民主党衆議院議員として、引き続き下記の点に取り組みます。
①税制の簡素化・公平化:基礎控除の所得制限を廃止し、働く人が努力に応じて報われる税制を実現する。
②働く人・挑戦する人の保護:働き控えを生まない仕組みづくりや、多様な人材が活躍できる環境整備を進めます。
③透明で持続可能な再分配:低所得者や子育て世帯への支援は、給付や税額控除で見える形で行い、政治的恣意を排除します。
税制は単なる財源確保の道具ではなく、努力と挑戦を支え、社会全体の活力を維持する装置であるべきです。 今後も現場の声を丁寧に聴きながら、公平・中立・簡素の原則を軸に、頑張る人が報われる社会、弱い立場も守られる社会の実現に向けて、国会と地域で取り組んでまいります。



